知っておきたいさまざまな妊娠合併症

多くの場合、妊娠は問題なく経過しますが、妊娠に伴う病気もあります。妊婦検診をきちんと受けることで様々な病気に適切な対応をすることができます。

つわり妊娠悪阻

妊娠初期の吐き気や嘔吐はよく見られる症状ですが、吐き気が続き、頻回の嘔吐が見られ体重減少や脱水の兆候などがある場合は「妊娠悪阻」として入院や点滴が必要になることもあります。ほとんどは20周を超えるころには改善しますが、妊娠後期まで症状が持続する場合もあります。
食事は1回分を少量にして、1日の食事回数を増やすようにし、消化しやすい食品や水分を補給します。1日に数回行性の嘔吐が続く場合は受診しましょう。

妊娠糖尿病

妊娠中に初めて発見された糖代謝異常のことを「妊娠糖尿病」といいます。妊娠後に検査を受け血糖値が高いと診断されます。
血糖コントロールが不十分な場合、お母さんは妊娠高血圧症候群や難産など、赤ちゃんは巨大児や横断低血糖など、多くの合併症が起こることがあります。お産の時期や方法についても注意が必要です。
妊娠中は血糖の管理が重要です。食事療法や適度な運動など、医師から指導を受けてください。ほとんどの人が産後に改善しますが糖尿病に移行してしまう場合もあるので定期的な検診が必要です。

妊娠高血圧症候群

妊娠20週~産後12週までに高血圧を発症した場合を「妊娠高血圧症候群」といいます。20人に1人の割合で起こり、高血圧(最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上)やたんぱく尿が認められます。
重症になると、お母さんはけいれん発作や脳出血、 肝臓・腎臓の機能障害など、赤ちゃんは胎児発育不全や常位胎盤早期剥離、 胎児機能不全、 胎児死亡などを起こすことがあります。
この病気の原因や治療方法はまだ確立されていませんが、健診をきちんと受け、適切な妊娠管理を行うことが最も大切です。
産後は急速に改善しますが、重症化した場合はフォローが必要です。

前置胎盤

胎盤が正常より低い位置にあり子宮の出口にかかっていたり、覆っていたりする状態のことをいいます。高齢や喫煙、多産婦、帝王切開の既往などが原因として挙げられます。
一般的には無症状ですが、腹痛を伴わない突然の性器出血や大量性器出血を起こすことがあります。その場合にはすぐに産婦人科を受診しましょう。前置胎盤になると、ほぼ100%で帝王切開での分娩となります。

貧血

妊娠すると、体内を循環する血液の量が増えます。 しかし、血液中の赤血球の増加量よりも水分の増加量の方が多いため、血液中の水分の割合が増えた状態になり、 ヘモグロビン値が基準よりも低くなることがあります。 また、胎児発育のために鉄の必要量が増えることで、鉄欠乏性貧血が起こりやすくなります。
母体の貧血が原因で、 胎児貧血や子宮内胎児発育不全になることもあります。また、 分娩時には出血性ショックを起こすこともあります。
貧血を予防するためには、 鉄分が豊富な動物性食品などを含む、パランスのよい食事をとることです。 鉄分の吸収率を高めるビタミンCを含む食品をいっしょに食べることも大切で、 鉄欠乏性貧血以外に、葉酸などが不足して起こる貧血もありますので、緑黄色野菜なども十分にとりましょう。

早産・切迫早産

早産とは妊娠22週0日~36週6日までの出産をいいます。早産の場合、新生児集中治療室での長い治療が必要となったり、重い障害が出てくる可能性が高くなります。
妊娠の5%に発生し、原因は感染や体質によることが多いといわれています。また、 妊娠高血圧症候群や前置胎盤、常位胎盤早期剥離などにより、人工的に早産とせざるを得ない場合もあります。

早産になりかかっている状態のことを「切迫早産」といいます。
切迫早産になると、 子宮の収縮を抑える薬を使用し、細菌による摩内感染にも対応することがあります。

早産や切迫早産を予防するには、日頃から無理のない妊娠生活を心がけることが最も大切です。

常位胎盤早期剥離

赤ちゃんがお腹の中にいる間に、まれに胎盤が子宮からはがれることがあります。赤ちゃんは胎盤から酸素や栄養を受けているため、酸素不足が原因で脳性麻痺などの障害が残ったり赤ちゃんが死んでしまうことがあります。また、お母さんが重篤な状態になることもあります。
妊娠高血圧症候群や切迫早産、喫煙などがリスクを高めるとされています。予防や早期発見のためには定期的に検診を受け医師の指導に従うことが大切です。

帝王切開

帝王切開による出産割合は年々増加しています。妊婦さんは、帝王切開について事前に学び、前向きに考えておく必要があります。
一部の帝王切開は前もって計画して行われますが、 多くは分娩中の経過の中で医師が判断し、行われます。 帝王切開の可能性が高い医学的な理由は以下のようなものが挙げられます。

  • 多胎
  • 母親に心疾患やヘルペス感染がある
  • 母親の血圧が高く危険
  • 骨盤や胸帯、胎児の位置(逆子等)の問題
  • 胎児切迫仮死(心音の低下)
  • 以前の帝王切開

こんな時はすぐに産婦人科医の診察を!

そのままにしてはいけないトラブルがあります。
次のような症状のときは、すみやかに産婦人科医の診察を受けましょう。妊娠にともなう生理的な変化や、 出産が始まるしるしで心配ないこともありますが、そのままにしておくと母子ともに危険な状態になることもあります。「健診を受けたばかりだから」とか「来週、 健診だからそれまでいいや」などと放置しないようにしましょう。

お腹の張り・痛み

お腹の張り、痛みを感じたら、 まずは横になってからだを休め様子をみましょう。それでおさまるようなら生理的な張りと考えられます。
しかし、「痛みや張りがどんどん強くなる」「動けないほど強い痛み」「お腹が板のようにかたい」「出血をともなう」「発熱をともなう」などのときは、絶対にそのままにしておいてはいけません。
妊娠初期ならば、 流産、子宮外妊娠、中期以後ならば常位胎盤早期剥離、早産など、 すぐに入院して手当てをしなければならない状態のこともあるので、 医師に連絡をし、診察を受けましょう。お腹を打ったなどのときも、 しばらく安静にして様子をみて、少しでもおかしいと思ったら診察を受けてください。

つわりがひどく水分もとれない

つわりは多くの妊婦が経験する症状ですが、くり返し吐いて水分も受けつけないときは「妊娠悪阻」の心配があります。
脱水や代謝異常をきたすおそれがあり、点滴などが必要になる場合もあるので、必ず受診しましょう。

胎動が感じられない

「昨日までよく動いていた赤ちゃんだが今日は動きを感じられない」「胎動が弱くなった」 というときは、 すぐに受診しましょう。なんらかの原因で赤ちゃんが弱っていることが考えられます。

出血

妊娠中に出血したときは、初期・中期・後期など、時期にかかわらず必ず受診しましょう。 心配のないものもありますが、自己判断は危険です。
妊娠初期ならば、流産、子宮外妊娠、胞状奇胎。中期以後ならば切迫早産や前置胎盤 常位胎盤早期剥離などが考えられます。安静にして症状を医師に連絡し、受診してください。

頭痛

強い頭痛が長く続く、目に火花が散る、チラチラするというときは血圧の検査が必要です。妊娠高血圧症候群の可能性もあります。

破水

赤ちゃんを包んでいる卵膜が陣痛開始前に破れてしまうことです。妊娠のなかばで膜が破れると、 赤ちゃんが子宮の中にいられなくなり流産・早産となります。妊娠後期の場合は、入院治療で無事に出産できる可能性があります。
尿とも違う、さらさらした液体(羊水)が流れ出ているとき、あるいは液体が大量に流れ出たときは、時間を問わず、すぐ受診しましょう。

このように、何事も自己判断は危険です。無事、赤ちゃんと会うためには、些細なことでも放っておかず、お医者さんに相談しましょう!

まとめ

私は第一子出産時、高血圧症で赤ちゃんが育たず、わずか1500gで出産しました。
クリニックですぐに、血圧が高いのと赤ちゃんが育っていないのに気付いてくれたため、NICUのある総合病院に転院しことなきをえました。
第二子妊娠中の今も、高血圧症になるのが怖いです。
しかし、お医者さんの適切な診断があったから、無事に出産できたし、今ではなんの問題もなく幼稚園で走り回る長男を見ることができています。

妊娠中はいろいろな合併症のリスクがあります。少しでもおかしいと思ったら、症状を問い合わせる、受診することが大切です。

無事に、元気な赤ちゃんを産みましょうね!

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